速読をするために一番大事なことは、読書に対する『考え方』を変えることです。
技術よりもまずは考え方です。
私は以下の5つが速読するためのメンタルセット(基本的な考え方)として重要だと考えています。
【その1】本の中で重要なのは2割
皆さんは『2:8の法則』というものをご存知でしょうか?
イタリアの経済学者パレートが提唱した理論で『パレートの法則』とも呼ばれます。
「社会の富の8割は、上位2割の富裕層が保有している」
「売上の8割は、2割の優良顧客によってまかなわれている」
というような法則(経験則)で、世の中のいろいろな事象に当てはまるといわれています。
読書についてもこの法則は当てはまります。
本の中で重要なのは全体の2割。
残りの8割はその2割を支えるエピソードや証拠、事例に過ぎません。
枝葉末節に当たる8割の部分は読み飛ばしてしまって構わないのです。
【その2】どこが重要かは自分が決める
前項で「本の中で重要なのは2割」と言いましたが、熟読しなければその『重要な2割』がどこにあるかわからないのではないか?
見逃してしまうのではないか?
…と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、大丈夫です。
本の中でどこが重要かは、著者ではなく、あなたが決めれば良いことだからです。
私たちは学校教育の中で、文章を一字一句逃さずていねいに読み込んだり、著者の気持ちを読み取ったりするだけの受動的な読み方を教えられてきました。
しかし、現代社会において重要なのは「今の自分に必要な情報、重要な情報を、自らキャッチしに行く」ような読書法なのです。
自分が必要な情報をキャッチしに行くつもりで、読書に臨みましょう。
自分にとって必要な情報が、自分にとって重要な情報なのです。
もしも著者にとって重要な情報と、自分にとって重要な情報がずれていても問題はありません。
そもそも自分にとって重要ではない情報は、たとえ熟読したとしてもほとんど頭には残らないのですから…。
【その3】熟読しても全ては理解できない
熟読しないと本の内容を正しく理解できない。覚えられない。
…という人がいます。
1冊を60分で速読した場合と、1週間かけて熟読した場合とで理解度に差が出る(=速読の方が理解度が低い)というわけです。
しかし、これは大きな間違いです。
なぜならば人は古い情報はドンドン忘れていくからです。
1週間前のニュース、1週間前の会話、1週間前のTwitterの内容など、ほとんど覚えていない人が多いでしょう。
ドラマなども実は何週間にもわたってチマチマ見ていくよりも、DVDを借りて、後からまとめて見てしまった方が理解度は高まります。
たとえ速読によって理解度が落ちたとしても、時間をかけて熟読することによって忘れてしまうのと大差はないのです。
【その4】繰り返し読めばいい
速読によって理解度が落ちてしまうことが心配ならば、繰り返し読めばいいのです。
1週間かけて1冊の本を読むより、1時間で1冊読み、翌日もう一度30分かけて復習する方が理解度は高まります。
加えて、前者は1週間で1冊しか読めませんが、後者は1週間で3冊も読めます。 (しかも高い理解度で)
繰り返し読む(復習する)際には、ノートやブログにまとめながら読む(=アウトプットする)と、さらに記憶に残りやすくなります。
【その5】質より量
例えば、マネジメントに関する知識を身に付けたい時、1週間で1冊の本を熟読するよりも、1週間で5 冊の本を速読した方が知識は広く、深く身につきます。
本を選ぶ際に、
1.「マンガでわかる◯◯」や「◯◯を1時間でマスター」のような超入門書
2.その 分野の中であなたが最も興味あることに特化した本
3.その分野について幅広く書いてある本
というような順で読んでいくと、 より知識が身につきやすいでしょう。
逆に熟読で1冊の本を読み込むだけでは知識が偏ってしまう恐れもあります。
また熟読するにしても、初学者は、数ある本の中から、どの本を選ぶのが最適か、判断する材料を持ち合わせていません。
質より量の姿勢でたくさん読んでいくと、中にはもちろん「ハズレ」な本もあります。
もし自分に合わない本、よくなかったなと思う本に当たったら、サッサと読むのをやめてしまえば良いのです。
そもそも数をこなしていかなければ、ハズレもアタリもわかりません。
以上、速読する上で意識しておきたい5つのマインドを紹介しました。